OpenStackって何?
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OpenStackって何?

森本信次 クラウドプラットフォーム技術部 部長

1. クラウドが普及していく中で生まれたOpenStack

技術の進化にともなって、アプリケーションの稼働環境は大きく変化を遂げています。「物理サーバ」1台で、1つのアプリケーションを実行していた時代から、CPUの高性能化によって生まれた余剰リソースを活用した「仮想化」技術が発達したことで、1台の「物理サーバ」で複数のリソースを分割して活用できるようになりました。さらに約10年前からは、共有されたリソースへのネットワークアクセスを可能にした「クラウド」の実用化が始まっています。

調査会社IDC Japanの調査結果によると、国内クラウド市場は今後も堅調に拡大すると見込まれており、クラウド系サービスの売上額は2023年にかけて2倍以上に伸びると予測されています。(注1) 業種・業態を問わず、様々な企業においてDX(デジタルトランスフォーメーション)が進められているいま、そのインフラ基盤としてのクラウドに対する注目が高まりを見せているのです。

従来、クラウドを利用する目的は、「コスト削減」が最も大きなものとされてきました。しかし、いまはそればかりだけではなく、「俊敏性」「市場へのスピード感」「固有技術によるロックイン排除」といった理由からクラウドを採用するケースが増えており、“クラウドは競合優位性を確保するためのイノベーションプラットフォームである”と捉えられています。

今回は、そんなクラウドのインフラ基盤として、「楽天クラウド」を始めとする多くの通信系企業で採用されている「OpenStack」について紹介します。

2. OpenStackを知る

2.1. 概要
OpenStackとは、マルチテナントやセルフサービスなど、パブリッククラウドと同様の環境構築を可能にするオープンソースソフトウェアです。この開発プロジェクトは、2010年に米RackSpace社とNASAによって立ち上げられました。単なる仮想化管理ツールではなく、パブリッククラウドと同等の機能を実現することを目指しており、次のような特長が挙げられます。

2.2. OpenStackの特長
・スケーラビリティを意識した疎結合アーキテクチャ
 —コンピューティングノードの追加が容易
 —コンピューティングノードの負荷分散が可能に
・APIで操作するプログラム可能なインフラストラクチャ
 —プログラムによるインフラ環境の自動構築・変更に対応
・ドライバー/プラグインによる外部コンポーネントとの連携
 —サードパーティ製品連携・エコシステム
・コミュニティでの開発=より速い機能開発
 —ベンダによる開発に比べて、必要な機能をより速く開発できる

2.3. 仮想化環境とOpenStack環境の構築ステップの違い
従来の仮想化環境とOpenStack環境の構築ステップを比較してみると、OpenStackにはAPIのインターフェースがあるほか、自動化に向けた様々な仕組みが備わっているため、利用までの作業工数を大幅に削減できることがわかります。

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2.4. Red Hat OpenStack Platformとは
いくら作業コストを下げられるとはいえ、オープンソースソフトウェアであるOpenStackを企業利用することに対し、少なからず不安を覚える方も多いのではないでしょうか。そこで、「楽天クラウド」を始めとする多くの通信系企業が採用しているのが、Red Hat社が提供する「Red® Hat OpenStack Platform」です。

「Red Hat OpenStack Platform」には、最大5年のサポートが受けられる「ロングライフサポート」が用意されており、安心して商用利用することができます。

また、Red Hat社といえば、RHEL(Red Hat Enterprise Linux)・OpenStack・OpenShift・Ansibleなど、様々なアップストリームプロジェクトのオープンソースコミュニティにおいてリーダーシップを発揮していることから、コミュニティで生まれた新たな機能が、「Red Hat OpenStack Platform」に継続的かつ自動的に次々と搭載されていくため、利用企業はスピーディーに拡張性の高いクラウド環境を構築することができるのです。

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出典元:https://www.redhat.com/ja/about/development-model

3. OpenStackの活用例

すでに触れたように、OpenStackは、マルチテナントやセルフサービスなど、パブリッククラウドと同様の環境構築を可能にするオープンソースソフトウェアで、様々なマイクロサービスをその上に載せて、ブラウザとインターネットさえあれば活用できるSaaSのプラットフォームとして活用することで、ビジネス活用の利便性が広がります。

では、OpenStackでマイクロサービスを実現するためには、どのような技術要素が必要なのでしょうか。

その前提となるのが、コンテナ技術です。コンテナ技術を使うことで、ほかのプロセスから実行環境を隔離し、その中でアプリケーションを動作させることができます。また、コンテナは複製もできるため、検証にかかる作業コストを大幅に削減して、アプリケーションを頻繁に更新することが可能となります。

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さらに、多数のコンテナを効率よく活用するために、下記のようなプラットフォームが必要となります。

・docker:コンテナを仮想化して、アプリケーションを開発・配置・実行するためのプラットフォーム。

・Kubernetes:コンテナの運用を自動化できるコンテナ・オーケストレーション・プラットフォーム。

・OpenShift(Red Hat社): 企業向けのコンテナ・オーケストレーション・プラットフォーム。コンテナ化アプリケーションのクラウド開発・ホスティング・スケーリング・提供を支援する。

・Istio:マイクロサービスが相互にデータを共有する方法を制御するサービス・メッシュ・プラットフォーム。KubernetesをベースにIstioをインストールすることで、マイクロサービスを追跡・モニタリングすることができる。

4. 楽天クラウドが選ばれる理由

最後に、「Red Hat OpenStack Platform」を採用したクラウドである「楽天クラウド」を利用するメリットの中から、一部を抜粋して紹介します。

4.1. 進化し続けるクラウド環境
楽天クラウドは、今回紹介したOpenStackの利点を最大限に活かしながら、企業向けにクオリティが担保された状態で、次々に新機能が自動で実装される予定です。例えば、カーネルベースの仮想マシン対応の仮想アプライアンスがOSP上で起動できるようになったり、API連携によるクラウドリソース制御の自動化、GPU/vGPUのサポート、および IPsec VPN対応などがあります。

4.2. ハードウェア周りの利点
楽天クラウドは、低価格でサーバ、ネットワーク、ストレージといったハードウェアを導入することができ、コスト面での心配もクリアしやすくなります。またサーバは、楽天と同じ製品を使用しており、最新のCPUを採用。ネットワークも、楽天と同じアーキテクチャで、大容量・高品質な回線を使用。楽天グループで共通のデータセンターを利用していることも、安心のポイントです。これらのハードウェア周りの利点を活かし、お客さまのデジタルトランスフォーメーションを強力にサポートします。

4.3. 楽天グループシナジーによる将来性
楽天コミュニケーションズは、クラウドキャリアとして2012年からの運用実績を誇り、通信キャリアとしても高い信頼があります。楽天グループとのネットワーク接続ではより低遅延かつセキュアな通信を実現し、モバイルやIoTサービスプラットフォームなどの楽天グループの様々な最新技術との連携によるシナジーを追求します。

まさに進化の過程にある楽天クラウドの今後をどうぞご期待ください。

楽天クラウド:https://cloud.rakuten.co.jp/index.html

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(注1) 出典 IDC, 国内エンタープライズIT市場予測、2019年~2023年、#JPJ43998719

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森本信次
「国内SIerに入社後、ソフトウェアの開発、企画に従事、外資クラウド関連のソフトウェアベンダー数社を経て現職に。クラウドに関わる新規サービスの企画開発、運用に携わったことをきっかけに、クラウド関連の技術全般に興味を待ち、複数の商材をサービス化する傍ら、ブログや勉強会などを通じて日々新しいテクノロジーの啓蒙活動を行っている。
プライベートでは、週末朝から晩まで子供と遊びワークライフバランスに気を付け、日々忙しくも楽しく仕事に取り組み中」
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