見出し画像

楽天クラウドでRed Hat、VMware、楽天の組み合わせが生まれた背景と今後の方向性

森本信次 クラウドプラットフォーム技術部 部長

1.楽天クラウドでRed Hat、VMware、楽天の組み合わせが生まれた背景

前回のNoteでは、「楽天クラウド」を始めとする多くの通信系企業で採用されている「OpenStack」についてご紹介しました。今回は、昨年10月にリリースした「楽天クラウド Red Hat® OpenStack Platform
で、Red Hat、VMWare、楽天の組み合わせが生まれた背景について触れたいと思います。

1.1 Red Hat OpenStack Platformの採用
このNoteで「楽天クラウド」を初めて知った方もおられるかもしれませんが、楽天コミュニケーションズでは2012年からパブリッククラウドサービスを提供しています。 IaaSに始まり、ファイル共有サービスなどお客さまの要望に応えて機能拡張をしてきましたが、クラウド制御システムは自社開発であったため、限界を感じていました。

クラウド02ブログ

昨今のデジタル・トランスフォーメーション(Digital transformation:DX)の基盤となりうる、高機能で柔軟性があるパブリッククラウドサービスを提供するために、まず採用を考えたのがOpenStackでした。
OpenStackを普及促進する団体であるOpenStack Foundationは、187の国から700近い組織および10万を越えるコミュニティメンバーを抱える、世界で最も活発に活動しているオープンソースコミュニティの一つです。その集合知の結集されたオープンソースソフトウェアの採用は、必然とも言えます。ただし、パブリッククラウドとして商用提供するためには、信頼性が欠かせません。そこで採用したのが、「Red Hat OpenStack Platform」になります。「Red Hat OpenStack Platform」はOpenStack プロジェクトの結果を基に開発・提供されている製品で、機能拡張が継続的かつ自動的に行われるため、スピーディーに拡張性の高いクラウド環境を提供することが可能になります。Red Hat社は、OpenStackの開発に最も貢献している企業ですが、オープンソースコミュニティ全体においてもリーダーシップを発揮しています。企業利用用途のLinuxといえば、RHEL (Red Hat Enterprise Linux)がデファクトスタンダードになっていますし、OpenStack, OpenShift, Ansible などのアップストリームのプロジェクトをリードし、主導的な立ち位置にいます。また、「Red Hat OpenStack Platform」では、最大5年のサポートが受けられる「ロングライフサポート」が用意されていることもポイントとなりました。

1.2 VMware NSX-Tの選定

クラウド02ブログ02

次にVMware NSX-Tについてですが、なぜRed Hat とVMWare なのか、競合(Pivotalの買収などもあり)しているのではと疑問に思われる方も多いかと思います。しかし、共通点も多くあります。例えば、VMWare NSX-T以前には、VMWare NSX-VというSDN (Software Defined Network)が提供されていましたが、このNSX-Vは VMWare製品との組み合わせのみがサポートされていました。VMWare NSX-TではRed Hat OpenStackをはじめ、より多くの製品との組み合わせがサポートされるようになりました。つまり、VMWareにおいても、製品ベンダーとしてオープンな技術仕様であることを重視するようになっています。

今回のプロジェクトでは、SDN OVS (Open Virtual Switch), DVR (Distributed Virtual Router)について、弊社技術部門のメンバーが製品評価・選定にあたりました。コンテナ対応、マイクロセグメンテーションによるよりセキュアな接続、将来的な機能強化(IDS、WAF機能の追加)、管理容易性などがポイントとなり、VMware NSX-Tを選択いたしました。対応サービスプロバイダーとして、構築から運用・保守までをトータルにカバーする必要があるため、評価項目としては機能要件以外にもサポート体制などのいわゆる非機能要件についても重視しました。

1.3 楽天とのハードウェアの共通化
楽天クラウド Red Hat OpenStack Platform」は、楽天グループとして管理しているデータセンターで運用され、ハードウェアも共通化されています。楽天グループで培った技術基盤、ノウハウ、信頼性の高いインフラストラクチャの上に構築されています。加えて共通化による経済性のメリットもあります。また、インターネットのニュースなどでご存知の方もおられると思いますが、私たちの親会社である楽天モバイルでは、無線アクセスネットワーク(Radio Access Network, RAN)のハードとソフトの分離、オープンAPIを活用した、完全仮想化クラウドネットワークを提供しており、そのキーワードは、クラウド、オープン、API です。そしてクラウドソフトウェアのコア部分が Red Hat OpenStack Platform (NFV)であり、楽天モバイルの通信設備でも採用されている安心感も今回の製品選定のポイントでもありました。

2.楽天クラウドの今後の方向性

2.1楽天シナジーによる付加価値をSaaSとして提供

クラウド02ブログ03

まず大きな方向性として「楽天クラウド Red Hat OpenStack Platform」は、ビックデータを分析して消費行動を理解するAIエージェント、ファクトベースのビックデータ、などの楽天のアセットや既存サービスとのシナジーによる付加価値提供をSaaSつまりサービスとしてお客様へご提供してまいります。
また、ソフトウェア開発会社様などのサービスプロバイダー様がSaaSとして提供される基盤として「楽天クラウド」をお使い頂く際にもご提供していきます。

2.2 通信事業者ならではのサービス提供
他のクラウドサービスプロバイダーと比較した場合の優位性/違いですが、楽天コミュニケーションズは(現在も)閉域モバイル接続サービスを提供しており、これは、社外/自宅から弊社のSIM(GSMやW-CDMAなどの方式の携帯電話で使われている、加入者を特定するためのID番号が記録されたICカード)を使う事で、インターネット回線に出ることのないセキュアなモバイル接続網です。モバイル環境をあたかもイントラネットに延長できるようなイメージです。
今後は、楽天モバイルのネットワークとのシナジーにもご期待いただきたいです。

2.3 クラウドネイティブなインフラ運用へのシフト

クラウド02ブログ04

IaC (Infrastructure as a Code) は、クラウドを前提としてインフラの効率的な運用をどう実現するかということです。サービスだけではなく、インフラにも柔軟性やデリバリーのスピードが求められるのではないでしょうか?インフラもそれらに追従できなければ片手落ちだと言えます。楽天クラウドでは、IaCの推進も進めてまいります。

次回はなぜSaaSが今求められているかについてサービスプロバイダー視点で書かせて頂きたいと思います。

楽天クラウド:https://cloud.rakuten.co.jp/

画像5

森本信次
「国内SIerに入社後、ソフトウェアの開発、企画に従事、外資クラウド関連のソフトウェアベンダー数社を経て現職に。クラウドに関わる新規サービスの企画開発、運用に携わったことをきっかけに、クラウド関連の技術全般に興味を待ち、複数の商材をサービス化する傍ら、ブログや勉強会などを通じて日々新しいテクノロジーの啓蒙活動を行っている。
プライベートでは、週末朝から晩まで子供と遊びワークライフバランスに気を付け、日々忙しくも楽しく仕事に取り組み中」
よろしければ、フォローもよろしくお願いいたします!
6
中のひとの日常や、お客様のデジタル・トランスフォーメーションのお役に立つかもしれない?情報を発信していきます。